研究概要 |
本研究の目的は,弾性体の飛び移り座屈を利用して,生物のようなキビキビとした動きを実現する斬新なロボットを開発することである.今年度は,昨年度開発した複数の瞬発力発生機構をベースとして,様々な小型移動ロボットの開発を行った. まず,片方向性の瞬発力発生機構を2対用いた小型走行ロボットを開発した.このロボットは,瞬発力発生機構により地面を水平に近い角度で強く蹴り,低い跳躍と滑りを繰り返して高速に移動する新しいタイプの走行ロボットである.掌に載るほどの小型サイズで,70グラム程度の軽量でありながら,秒速1.5メートルの最高速度を達成した.これは昨年度の2倍の最高速度である.さらに,2対の瞬発力発生機構の位相を制御することにより,毎秒1.8回転の高速旋回の実現に成功した. さらに,弾性体の振りと曲げを伴う飛び移り座屈による瞬発力発生機構を用いた跳躍ロボットを開発している.この機構では,動力源を一方向に回転させるだけで連続的に瞬発力を発生させることができるため効率が良く,水上での跳躍も実現している. このほかに,移動ロボットの大型化のための大瞬発力発生機構も開発している.小型ロボットなどで利用している帯状の弾性体をそのまま大型化すると,撓みにくくなり,高い弾性エネルギでの飛び移り座屈を発生させることはできない.これに対し本研究では,飛び移り座屈により大きな瞬発力を発生させることのできる弾性構造体を発明することに成功した.この弾性構造体は,帯状の弾性帯を捩りバネとして利用し,これらを直列に結合したシンプルな構造体である.21ニュートン程度の駆動力で,16ニュートン・秒程度の大きな運動量を発生させることに成功した.この弾性構造体を利用することにより,今後犬並みの運動能力を有する移動ロボットが開発されると期待できる.
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