研究概要 |
本研究の目的は,ナノ粒子形状選別を行うための反磁性磁気特性を利用した浮上システムを作製し,ナノ粒子を遠隔的に操作選別することである.本申請課題では,反磁性物質の浮上システムの構築,および,反磁性物質のマニピュレート手法の検討に取り組んだ.まず,基本的な原理を考案し,浮上させる物質により浮上位置が違うことを理論的に解明した,その後,市販の静磁場解析ソフトにより磁気浮上システムに用いる磁石の最適配置を検討した.ここでは,効率的に粒子を磁気浮上させるためにHalbach配列を用いるとよいことがわかった.また,磁石を浮上させることで原理確認した.その後,実際に装置設計を行い,顕微鏡下で磁気浮上させるシステムを設計した.その後,装置を作製し実証実験を行った,まず,永久磁石と感温磁性体を組み合わせて,反磁性物質であるグラファイトを用いることで磁気浮上が可能であることを確認した.このときの浮上量は17μmであった.さらに,光源に出力200mWの近赤外半導体レーザを用いた。また,空間中の磁場を光熱変換効果により変化させるために感温磁性体を用いた.その結果,反磁性物質であるグラファイトの位置を光による無線制御可能であることを示した.さらに,粒子から散乱した光の偏光状態を計測することで高精度に位置を検出できることも確認した.パッシブに磁気浮上した反磁性物質を駆動させた例はこれまでに報告がなく,摩擦によるエネルギロスが生じないため駆動の高効率化が可能であるという点で重要であり,摩擦のないステージ開発など更なる応用が期待できる.
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