研究概要 |
家庭,医療,福祉など人間生活に近い場で作業可能な多指ロボットハンドシステムの開発が求められている.しかしながら,現在のところ,多指ハンドは人間の手ほど多くの機能を有することができていないため,その活用の範囲は限られている.本研究では,道具,中でもピンセット形道具に着目し,ピンセット形道具により,直接触ることのできない物体を把持・操るシステムを開発することを目指す.以上のような目的のもとに研究を行い,以下のような成果を得た. 1. (1)拇指対抗機能,(2)指リンクや手の平での操り機能,(3)人間と類似の形状,同等の自由度,(4)表面やわらかさ,の機能を持った4本指からなる多指ロボットハンドを設計・開発した.なお,実際に製作したのは,親指,人差し指部のみであり,残りの指政策ならびに指改良は来年度行う予定である.本ハンドは,掴む対象の情報の不確かさを吸収する上で重要な表面やわらかさを持っており,道具把持に最適と考えられる. 2. ロボットハンドなど,手先効果機にかかる重力や手先外力の影響を考慮しながら,同時に速度領域で,マニピュレータの可操作性を評価するための新しい手法を開発した. 3. 2で開発した手法をもとに,物体を多指ロボットハンドで把持し,操るシステムに関して,把持の保障を行いながら,同時に速度領域で可操作性を議論するための新しい手法を開発した.各アクチュエータに与えられる作動範囲より発生可能速度と発生可能トルクの関係を導出し,その関係をもとに,把持に必要な力を考慮しながら,発生可能な対象物速度の集合を導出した.この集合をもとに,発生可能な対象物速度を評価する新しい指標を開発した.
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