研究概要 |
本研究では,電動車いす搭乗者の車いす走行時の上体揺れ抑制を考慮した電動車いす走行制御システムの開発を行う.車いす搭乗者の挙動は体格や傷害度合いが異なり,搭乗者の特性に応じた車いす走行制御が必要となる.そこで,本研究では,車いす搭乗者の体格や筋力を表現できる搭乗者挙動数理モデルを提案する.このモデルは,搭乗者を二重倒立振子で表現し,背もたれへの接触挙動も表現する.したがって,頭部質量や胴部質量,筋力を示すバネ・ダンパーによって,搭乗者の体格が陽に示され,かつ背もたれへの接触も考慮されているため,実際の搭乗者挙動を高精度に表現できる.提案モデルを用いて,搭乗者揺れ抑制走行制御システムを開発する.この走行制御システムでは,提案モデルを用いて,搭乗者の頭部,および胴部の挙動の二乗積分値が最小となる走行パターンを最適化問題により導出する.また,開発した走行制御システムに対して,快適性に関するSD法を用いたアンケート調査による主観評価,および発汗量計測による客観評価を実施し,搭乗者揺れ抑制と快適走行の関係を明確にする.本研究で開発された車いす走行制御システムは,高齢者や障害者が搭乗する車いすに適用されることが望ましいが,高齢者や障害者による車いす走行実験は困難である。そこで,人体挙動シミュレータを用いて,筋力が低下した車いす搭乗者の走行シミュレーションを行い,提案走行制御が有用であることを示す.
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