□研究の目的 ロボット工学、CGアニメーションにおいて、対象身体の運動を適切に表現することは必須である。しかし、そのエージェントの動作生成には、膨大な計算や作業を要さなければならない。そこで、本研究では、こうしたプログラマの労力軽減に向け、一連の動作をフェーズ分割して得られる運動フレーズを記憶、ライブラリー化し、これらの再生、切替、合成、修飾によって、ロボットやキャラクタの動作プログラミングが容易かつ汎用的行える統合開発環境の構築を目指す。 □研究成果 統合開発環境「モーション・シンセサイザー」は3つのサブシステム(シーケンサ部、駆動部、コントローラ部)から構成される。以下、本年度の研究成果となる2つのサブシステムについて概略を述べる。 1. シーケンサ部の開発 a) モーションライブラリーの構築 2つの運動タスク(上肢運動 : クランク回転タスク、下肢運動 : 歩行タスク)に対し、複数被験者で運動計測を行ない、対象動作の標準的運動指標(モーションキャプチャ、筋活動、推定関節トルク)をデータベース化した。 b) シーケンサエンジンの開発 運動データベース情報を用いて、CGキャラクタで動作を再現(再生機能)する他、その修飾により新規運動(生成(切替機能、合成機能)を実現する動作開発環境を構築した。 2. コントローラ部の開発 市販フィジカルMIDIコントローラが出力するMIDIプロトコルをロボット制御用通信プロトコルに実時間で自動変換するソフトウェア開発を行ない、ユーザの直観的機器操作でロボットコントロールが可能となるインタフェースを実現した。
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