研究概要 |
本研究では、ヒトの触感覚に関係する4種類の感覚受容器の感覚受容器の特性を模擬したセンサ素子と柔軟被覆を持つロボット指先に埋め込み、時間的な応力変化として柔軟被覆の振動を計測することで、この柔軟ロボット指先に触感覚機能を実現する。平成20年度は、ロボット指先の柔軟被覆部の振動を効果的に計測するための条件を調査した。 まず、爪や骨格におけるセンサ素子の配置について調査した。柔軟被覆を持つロボット指内部の3箇所にPVDFゲージを埋め込み、指先表面で起こる振動を計測した。実験では、指表面の複数箇所にプローブによる押しつけ操作を行い, その際に生じる応力変化として指先に振動を加えた。実験の結果、埋め込んだ3箇所全てにおいて振動を計測できることがわかった。これにより、小数のPVDFゲージを柔軟被覆に埋め込むことで、指表面全体の振動を計測できるとの見通しを得た。また、爪に歪みゲージを貼り付けて同様の実験を行った結果、指表面の複数箇所の振動を爪に貼り付けた歪みゲージで計測できることがわかった。これにより、爪に歪みゲージを装着することで、指表面全体の振動を計測できるとの見通しを得た。次に、柔軟被覆の形状・構造設計について調査を行った。人間の指先は、硬く伸縮に富む皮膚と、柔らかい皮下組織の複数層で構成されている。そこで、単層の柔軟被覆を持つロボット指先と、異なる硬度を持つ柔軟被覆が重ねられた二層の柔軟被覆を持つロボット指先を製作し、その比較を行った。比較の結果、複層の柔軟被覆を持つロボット指先の方がよく振動を計測できた。また、開発した指先を用いて指先なぞり操作の予備実験を行い、Stick-Slip振動の計測を通して滑りを検出するための条件を調査するための準備を整えた。
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