本課題は、2脚歩行ロボットの平坦地における高速移動を目的としたものである。モータ付きの能動車輪を脚部等に取り付ければ、高速移動できることは当然であるが、重量の増加、制御装置などの増加などの弊害がある。そこで、足部に受動の車輪のみを取り付け、脚の自由度を有効活用した足先運動にて、推進力を発生させ、高速移動を行う。目標は5%以内の重量、部品数、コスト、制御演算で5倍の速度向上である。4脚ロボットでは[ローラーウォーク]が広く知られているが、これを2脚に応用するものである。 本年度はその初年度として、新しい実証機の開発を進めている。原理は以前の研究で、簡易的なロボットを用いて有効性を確認したが、剛性の低さから十分な実験ができなかった。そこで、ACサーボモータ、ハーモニックドライブを採用した、本格的な脚ロボットを開発している。 これと並行して、「2脚歩行の研究はまず自分の体で確認する」原則に則り、受動車輪機構を人間が使用できる大きさ、強度に設計、製作し、実験を行っている。これはロボット用のプロトタイプでもある。これにより、従来は2脚とも接地して運動していたが、単脚による滑走や急速ターンが可能であることを人間で確認した。ロボット本体が完成後、ロボットにも制御則として導入する予定である。逆に、これまでロボットに実装していた移動のための脚運動は人間にとっては過酷なものであることも判明した。 本年度は主に、予算はロボットの部材購入と、高速度撮影が可能なディジタルカメラに使用した。なお、カメラは研究申請時に比べて極めて安価に購入できたが、運動解析に十分な性能を有していた。
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