超音波モータは高トルクを発生し、静粛、ブレーキ機構が不要、磁場の影響を受けない等の優れた特徴を有しているにも関わらず、その用途はカメラのオートフォーカス機構等に限られているのが境状である。一般的に超音波モータはその体積に対して大きなトルクを発生するが、実用化されているような進行波型モータは振動子の強度が弱いため、現状以上の高トルク化は難しい。超音波モータの特長は高トルク・省スペース・静粛さが要求されるアクチュエータ、例えばロボット用のアクチュエータ等に適している。高トルクが要求される用途は数多くあり、超音波モータの高トルク化による社会への影響は大きいと考えられる。本研究では、高強度の振動子をスクリュ型に配置した超音波モータを提案し、超音波モータの高トルク化を図った。超音波モータの駆動には複合振動が必要であるが、本研究ではボルト締めランジュバン型振動子(BLT)と呼ばれる堅牢で大きな出力が得られる振動子をスクリュ型に配置することにより複合振動を得る。3本の振動子を用いて複合振動子を構成し、超音波モータを試作した。また、振動特性・負荷特性等について検討した。振動特性はレーザドップラ振動計を用いて測定した。負荷特性はトルク計・回転計・パウダーブレーキ等を用いて測定した。振動特性を測定した結果、各部の振動分布にばらつきが見られたが、ロータ駆動面で必要とされる複合振動が得られていることを確認した。振動子に段付きホーンを用いた場合に負荷特性を測定した結果、最大トルク0.67Nm、最大回転数582rpm、最大効率7.63%が得られた。全ての振動子の振動分布を一致させること等により更に性能を向上させることができると考えられる。
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