研究概要 |
本研究は、電気接点自体に永久磁石を埋め込むことで、電磁リレーの機械的構造を変えることなく電気接点の消耗低減を実現する方法を提案し、その効果を実証することを目的としている。 平成20年度の成果として、純銀、及び銀系焼結合金(Ag/ZnO、Ag/SnO_2)の接点対を用いた実験で、電源電圧直流42V、回路電流5A~21Aの実験条件で、永久磁石による開離時アークの回転駆動効果が得られること、それによる効果として消耗領域が広く均一になること、及びアーク継続時間が短縮されることを確認した。さらに、高速度ビデオカメラで撮影した開離時アークの回転運動の様子と電圧・電流波形から得られるアーク長さを解析し、開離時アークを駆動するローレンツ力を計算した結果、ガス相アークへの移行後の必要最小限のローレンツ力があることを明らかにした。 これらの結果をふまえて平成21年度には、実際の電磁リレーの電気接点に永久磁石を埋め込み、アーク放電の回転駆動を試みた。その結果、開離責務動作接点対間でする開離時アークに対して、回転駆動効果が得られることを確認した。実験条件は、接点材料Ag/SnO_2、電源電圧42V,接点接触時の回路電流10Aである。それに対して、閉成責務動作接点対では回転駆動効果が得られなかった。このことから、アーク放電の回転運動を開始させる条件として、ある値以上のローレンツ力が必要なだけではなく、他の条件も関係していると予想される。そこで、接点開離装置を用いた実験により、開離時アークの駆動開始に必要な条件を調べるための実験を実施した。その結果、アーク放電を駆動するための条件は、ローレンツ力だけは決まらず、アーク長さも影響していることが明らかとなった。
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