| 研究概要 |
高性能電磁界解析ソフトウェアを実現するための要素技術として、本年度は主に、(1)アスペクト比の高い要素が含まれる有限要素解析のための新しい前処理手法の提案、(2)辺有限要素法のための並列マルチグリッド法の開発、(3)電磁界解析において多用されるA-φ法における反復求解法の収束性に関する数理的検討を行った。
(1) 電磁界解析の高速化のために用いられるマルチグリッド法・Hiptmairのハイブリッドスムーザなどの方法を統一的に記述できるフレームワークとして、陽的/陰的誤差修正法の提案を行った。さらに、そのフレームワークを応用することで、高アスペクト比の要素を含む有限要素解析を対象として、反復解法の収束性を改善するための新しい計算手法を提案した。
(2) 辺要素を用いる大規模な有限要素解析を対象として、高性能電磁界解析ソフトウェアの開発を行った。Arnord, Folk, Wintherのブロックガウスザイデル法に基づくマルチグリッド法と、MPIを活用した分散並列処理を用いることで、1億自由度以上の大規模計算への対応を可能にした。特に、Arnord, Folk, Wintherのブロックガウスザイデル法を効率的に並列化するために、ブロックマルチカラーオーダリングを用いることを提案し、ブロックサイズを適度に大きく設定することで、反復収束性の悪化を抑制できることを確かめた。
(3) (1)で提案した陽的/陰的誤差修正の概念に基づいて、準定常磁界解析におけるA法とA-φ法の反復収束性の相違について数理的検討を行った。
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