研究概要 |
本研究は、減圧アーク発生電極とプラズマに特化した画像処理アルゴリズム、及び、超高速ビデオカメラを用いて、減圧アーク陰極点の挙動軌跡解析を行うものである。本年度は、一昨年度に製作をした装置とアルゴリズムを用いて、酸化膜の厚さを変化させた際の陰極点の挙動軌跡の解析を行った。具体的な結果を以下に示す。 1.酸化膜の厚さを変化させた際の陰極点の挙動軌跡の解析を行い、酸化膜が陰極点の維持に重要な役割を果たしていることがわかった。 2.画像解析を用いて、陰極点が移動する際に、酸化膜の厚さによって変化する酸化膜の蒸発量を見積もった。結果として、酸化膜が厚いほど蒸発量が増加したが、厚くなりすぎると蒸発量の変化がなくなることがわかった。 3.蒸発量の変化がなくなるが、酸化膜の除去速度は変化しないことから、蒸発以外に吹き飛ばしによる除去も生じていると予想された。 4.上記3.の解決のため陰極点による酸化膜への熱伝達の解明が必要となるため、ハイスピードビデオカメラの撮影速度を30,000frame/sとして、アークの移動画像と電圧電流を計測し、アークの入力電力、陰極点と酸化膜の接触面積を得た。 5.酸化膜の蒸発量や酸化膜除去の優先性を解明するための手法として、分光器を用いた陰極点のスペクトル情報を解析し、酸化膜の蒸発によるスペクトルを得た。 以上の成果は、国際会議、研究会にて発表をした。
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