研究概要 |
前年度の結果で明らかとなった昇圧形DC-DCコンバータのソフトスイッチング化による高効率化について,試作機実験によりその効果を明らかにした。 最初に,RCDスナバと提案するソフトスイッチングセルの損失分析を行い,変換効率の観点からソフトスイッチングセルの有効性を実証した。スイッチング周波数の高周波化とともにソフトスイッチング導入効果が高まり,変換器(コンバータ)の効率を飛躍的に高めることを実証した。なお,ソフトスイッチング導入によるパワー半導体デバイスのスイッチングノイズの低減効果を実証するには至らなかったが,回路の実動作波形などから実現可能であることを確かめた。 次に,スイッチに次世代パワーデバイスであるシリコンカーバイド接合形ダイオード(SiC-SBD)を導入した回路を検討し,出力ダイオードおよびIGBT逆並列ダイオードのリカバリレス化から,ターンオン損失の大幅な低減によるスイッチング損失の大幅な低減の効果を実証した。この評価では,スイッチの逆並列ダイオードにおけるSiC-SBD導入効果について,回路の変換損失低減そのものに対する導入効果は明らかとならなかった。 さらに,部分共振セル内の寄生振動を抑制し,スイッチの耐圧を押さえることのできるスイッチングセルを考案し,回路の優れた特性を実験により評価した。 本研究で得られた成果は,昇圧形以外のDC-DCコンバータに応用する事が出来るため,昇圧形/降圧形を組み合わせた昇降圧形DC-DCコンバータ,さらにはその双方向化にも拡張可能である事が明らかとなった。
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