研究概要 |
電力系統に可制御負荷を普及させると,どのように風力発電の導入可能量が変化するかを定量的に評価するプログラムを開発した。北海道系統に可制御負荷として電気温水器が普及した場合を例として,この計算を実施した。また,その計算は,各可制御負荷が系統周波数を検出して自律的に制御する場合と,系統運用者からの指示に従い直接負荷制御された場合の両方について,解析した。各可制御負荷は,提案する制御法により,消費電力パターンは制御するが,タンク内の湯を沸き上げるのに必要なエネルギーは消費するので,需要家利便性は維持される。 解析により,可制御負荷が普及してない場合は250MWしか導入できないのに対し,17万台の電気温水器(現在の普及台数の約7割に相当)が自律的に周波数調整をすると,675MW導入できるようになるという結果を得た。これに対し,直接負荷制御の場合は,制御周期が風力発電導入可能量に大きく影響することがわかった。すなわち,制御周期が8秒であれば,自律制御よりやや多い705MWとなったが,制御周期16秒では585MW,制御周期24秒では逆に90MWとなり,可制御負荷が普及していない場合よりも低くなってしまった。北海道系統モデルにおいて,系統の慣性定数を7.5秒としたので,直接負荷制御を行うには,この慣性定数程度の制御周期が必要であり,それより遅いと,制御遅れにより帰って系統に擾乱を与えてしまうことが判った。開発した直接負荷制御法では,各制御周期の間に双方向通信を行うので,通信する情報量の削減が重要であることが判った。
|