研究課題
本研究は半導体を用いた広帯域・高感度圧力波センサの開発を行うものである。最終的に開発したセンサを帯電計測装置のセンサとして用い、人工衛星内部帯電計測システムへ応用することを目的としている。本年度はPNジャンクション型とMOS型半導体のセンサの試作を行い、パルス圧力波入力試験を実施し、申請者が考案した理論の実証を行った。入力した圧力波の時間幅は2ns、圧力は500N/m^2である。その結果、入力圧力波に応じた出力が確認された。パルス状の高帯域パルス圧力波の検出を半導体素子で行えたのは世界初の成果である。PNジャンクション型で5mV(昨年度は300μV)と感度の向上が実現した。MOSキャパシタタイプでは素子形状が複雑になったため、これまでと同様の圧力波の入力ができずに取得信号の向上は本年度内に完了できなかった。その原因として1.基板の裏面(感度領域形成面と反対側)からの圧力波を入力した場合、Si基板中を圧力波が伝播中に1/10以下に強度が減少する。2.信号取得部に針状のプローブを使用した為、信号経路が点接触で接触抵抗が大等があげられる。これらの点について新たなる圧力波入力用の冶具を作成することで改善できると考えられ、次年度以降の検討課題である。尚、本成果において論文投稿という形では行っていない。来年度、再現性の確認および開発素子における圧力-電気変換式(圧電式)の構築を行い理論と素子の実証を確実にし、特許出願を行った後に論文化する予定である。また、開発している半導体圧力波センサを帯電計測器へ応用した際の校正データの取得を、現在放射線照射環境下にて行っている。プロトン照射下における絶縁体内の帯電挙動と物性について、世界で始めて宇宙環境における材料劣化について帯電と物性の両面から検討を行うことが出来た。本成果は、2010年の秋に開催されるIEEE/CEIDPでの発表が決定している。
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IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering Vol.5,No,4
ページ: a09-023