研究概要 |
今年度は下記のような研究を行った。 1.新規液晶光学デバイスの作製及び評価 流速測定装置へ用いるための積層円形パターン透明電極構造を有する構造パラメータ(液晶層,絶縁ガラス層厚,円形パターン直径)における液晶光学デバイスを作製し,球面収差をできるだけ抑え凹レンズ特性でのレンズパワー可変範囲の増大について評価を行った。具体的には,干渉縞から求めた位相差分布と2次の近似曲線(理想球面)との光学位相差がλ/10になり,干渉縞の本数が可能な限り多く発生するように外部電極に印加する電圧を調整した。光学位相差分布から求めた1層円形パターン電極構造及び2層円形パターン電極構造を有する液晶素子における凹レンズ特性のレンズパワーはそれぞれ-6.2m^<-1>,-10.2m^<-1>となり,補助円形パターンによる凹レンズパワー範囲の向上と開口径の拡大を行うことができた。 2.半導体レーザと液晶光学デバイスを用いた流速測定装置のシミュレーション解析・実験結果 血液層を含む生体組織の3次元多層モデルを用いて生体組織内からの血流に対する散乱光についてモンテカルロシミュレーションを提案し,シミュレーション結果から得られた散乱光強度分布の結果を解析することで,血液層までの計測深度を特定する可能性について検討を行った。凹レンズ特性を有する液晶光学デバイスのレンズ特性により散乱光の広がり及び散乱光成分等や深さ方向での散乱粒子の情報を得ることが示された。さらに流測定装置での実験では,各流速における液晶光学デバイスのレンズ特性における高速フーリエ変換(FFT)解析を行った。流速によって散乱光の受光信号に対するFFT信号の50~200Hz付近の周波数成分が上昇し,スペクトルの傾きが緩やかになる傾向が見られた。 3.総括 以上,全体計画における各々の研究課題の位置付けを明確にし,問題点等の抽出を行い,総合的な考察を加えた。
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