研究課題
酸化タンタル(TaO_x)は、自己クローニング法により作製されるTa_2O_5/SiO_2系フォトニック結晶素子の構成材料(高屈折率材料)として用いられており、その適用波長範囲は可視光域から近赤外域にまで及んでいる。一方で、TaO_xベースの発光材料として、ErドープTaO_x(Er:TaO_x)の研究が多くなされており、ゾルゲル法やErイオン注入などの手法により作製されたEr:TaO_xが、光励起により、波長550nm付近及び波長670nm付近の発光を示すことが報告されている。この材料系では、特に波長550nm付近の発光ピークが顕著に発現することから、緑色発光材料としての用途が期待される。このEr:TaO_x薄膜を、自己クローニング型フォトニック結晶を構成する高屈折率材料として使用すれば、フォトニック結晶の特長であるフォトニックバンドギャップや高分散性と、Er:TaO_x薄膜からの発光機能との組み合わせによる、新たな緑色発光デバイスの実現が期待できる。このような背景のもと、研究代表者は、Er:TaO_x薄膜を、スパッタリング法を用いて初めて形成し、アニール処理後、波長550nm付近及び波長670nm付近の2つの発光ピークが発現することを確認した。他の手法で作製されたEr:TaO_xと同様、波長550nm付近の発光ピークが優勢であり、肉眼では緑色発光として観察することができた。平成21年度の重要な成果として、Er濃度0.96mol%程度、アニール温度900℃、アニール時間20分の条件下で作製した試料が、優勢な波長550nm付近のピーク強度が最大となることが明らかにした。今後も、発光強度の一層の向上を目指し、最適な作製条件の探索を更に進めるとともに、Er:TaO_x薄膜の自己クローニング技術への適用にも取り組んでいく予定である。
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IEEE/OSA Journal of Lightwave Technology Vol.27
ページ: 4995-5001
IEICE Electronics Express Vol.6
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