研究概要 |
超低消費電力・リコンフィギュアラブルRF回路は、ユビキタスネットワーク情報社会の実現のための、世界的に注目されているソフトウェア無線(SDR)に繋がる、最先端LSI回路の実現に不可欠である。リコンフィギュアラブルRF回路の実現には、CMOSプロセスの微小化に伴い、デジタル信号により制御できるDigitally-Assisted発振器(DCO)が不可欠である。従来のLC-VCOには、MEMSスイッチを利用し、インダクタンス(L)を可変する手法が報告されているが、チップ内のインダクタが不可欠であり、チップ面積は大きい。一方、リング型VCOは、LC-VCOより1/20に小型化できるが、周波数の上昇により、消費電力は急激に増加するため、SDR用リング型VCOの例は見られない。'このような背景の中、本研究の目的は、ユビキタスネットワーク社会実現のための超消費電力・超広帯域リング型12bitデジタル制御発振器(DCO)を開発することである。 申請者が提案したリコンフィギュアラブルRFフロントエンド用リング型発振器の設計法の妥当性を検証するために、まず回路論及びVDECが提供したCADツールを利用し、transition-assistedインバータを用いたリング型電圧制御発振器を設計し、0.18um CMOSプロセスにより試作・評価を行った。その結果、1.8GHzから5.8GHzまで広幅帯域で動作できる超帯広帯域リング型発振器を開発し、位相雑音もほぼ設計値どおり、tuning range, FOM(figure of Merit)を計測することができた。
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