研究概要 |
輝度画像に対して人間が手で与えた少数の色指定情報に基づき, 自然なカラー画像を再現するColorizationを復号時に利用する画像圧縮符号化法について検討を行った. 人間が手で与えるものに近い, 「線分の集合」で表現された色指定情報の抽出法を提案した. これにより, 特に色差平坦領域において. わずかな情報量で大量の代表画素に同時に色差を与えることが可能となり, 既存の手法と比較して, 同程度の主観品質の復号画像を得るために必要な情報量を大幅に削減することに成功した. また, 本年度はこれに加え, 提案手法による復号画像の客観品質尺度についても検討を行った. 提案手法による復号画像は, 従来の画像圧縮と比較して, 色情報の主観品質を高ゆることができるが, 主観評価値を得るためには非常に高コストな実験が必要となる. 一方で, 客観品質尺度として従来用いられているPSNR(Peak Signal to Noise Ratio)は主観品質との相関が非常に低いことが指摘されており, 提案手法による復号画像の品質評価には適当ではない。そこで本年度は, 近年多方面で利用されている画質の客観品質尺度であるSSIM(Structural SIMilarity)を新たに導入し, 提案手法による復号画像のSSIM値と主観品質が高い相関を示すことを明らかにした。SSIMを用いることにより, 従来検討が難しかった提案手法のレート/品質制御における大きな前進が期待される.
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