研究概要 |
平成21年度は、主として、コントローラの高機能化・高性能化を進めるため、FPGA (Field Programmable Gate Array)を用いたコントローラを新たに設計・試作した。その結果、既存のコントローラでは、量子化ビット数が12ビット、サンプリングレート40MSPSであったのに対して、今回、製作したコントローラは、量子化ビット数14ビット、サンプリングレート150MSPS以上を達成している。コントローラの高分解能化、高速化が達成されたことで、さらなる制御効果の向上が期待できる。また、制御パラメータがソフトウェア上で設定可能になったため、制御効果のフィードバックゲインや遅延時間への依存性を定量的に議論するための実験基盤も得られた。さらに、21年度は、制御の対象であるタッピングモードAFMにおけるカンチレバーの不安定振動について、大気中観察における実験的検討を進めた。その結果、カンチレバーの共振周波数の低周波側、高周波側、いずれにおいても、双安定な振動状態がみられることが明らかにされ、本実験結果を数値計算結果と対照させたところ、その要因が探針と試料表面間に生じるメニスカスの形成であることが示唆された。本成果は,制御の対象とする不安定振動ならびにその安定化メカニズムを明らかにし、制御効果の詳細を検討するうえで重要なヒントを与えており、研究課題実施の最終年度に向けて、コントローラの高機能化・高性能化とあわせて、研究基盤構築に寄与する貴重な成果である。
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