| 研究概要 |
本研究では,動的なネットワークトポロジーにおいても中継経路探索に負荷を必要とせず,安心安全に自律的なネットワーク構築する伝送方式の開発を目的とした研究を行った.本年度は,中継器においてネットワーク符号化,重畳符号化を施すことで,繰り返し検出による符号化利得の拡大を可能にしたと共に,以下の成果を得た.
(1) クラスタ中継符号化・復号伝送の開発に関する検討:
クラスタ中継符号化において,ベイズ理論的ならびにEXIT解析の見地から,通信路符号化-ネットワーク符号化の連接構造について解析し,復号処理の簡易化に成功した.また,非再生中継を前提とした通信路符号化-重畳符号化の連接構造についても解析を行い,それに適した繰り返し復号法を明らかにした.
(2) 連接符号化の強化法に関する検討:
通信路符号化-ネットワーク符号化の連接構造では,中継器におけるネットワーク符号化を施す割合を100%施すのではなく,任意の値のx%に設定することで,繰り返し処理による検出を適切に動作させることに成功し,簡易な構成で高い符号化利得を獲得することに成功した.また,符号化利得が最大となるxの設定値はEXIT解析により算出可能であることを証明した.一方,通信路符号化-重畳符号化の連接構造では,重畳の際の電力割合比をEXIT解析に基づき設定することで,容易に最大の符号化利得を達成できることを明らかにした.さらに,広帯域通信の場合に,非再生中継に伴う雑音伝搬の問題を,送信スペクトルの制御により緩和できることについても明らかにした.
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