平成21年度には、CFOとI/Q不均衡が存在するときのMIMO-OFDM受信信号のべースバンド数学表現式を導きました。計算上のメリットを有する周期性パイロット信号を提案しました。時不変MIMOチャネルを通り、共通のCFOと受信アンテナ毎に違うI/Q不均衡の影響を受けたパイロット信号を分析する。分析の結果により、二つ補正構造とそれぞれの補正法を検討しました。一つは受信アンテナ毎に補正を行う、補正した信号を従来通り合成する方法である。もう一つは、受信アンテナ毎に周波数選択性I/Q不均衡のみを補正し、残りCFOと周波数非選択性I/Q不均衡を含む信号を、合成過程にて補正する方法である。前年度の研究成果を踏まえ、この二つアプローチに対して、理想的な補正と合成が行われたときの、CFO、I/Q不均衡補正係数、更には合成係数が満たすべき関係式を導き出し、補正パラメータを求めました。 一方、時変MIMOチャネルの場合、CFOとI/Q不均衡が存在するときのMIMO-OFDM受信信号のべースバンド数学表現式も導きました。そこで、CFOを等価チャネルの状態方程式に吸収し、カルマンファイタを用いてチャネルの変化をトラッキングする方法を提案しました。提案法は、CFO、I/Q不均衡の補正をチャネル等化の一部とみなす、さらに、サイクリックプレフィックスの位相回転を起因としたキャリア間干渉を判定帰還フィルタリングにて除去しました。サブキャリアごとでの補正ができ、計算量が非常に少ない時変MIMO-OFDMシステムのCFOとIQ不均衡補正法を開発しました。
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