研究概要 |
平成20年では, コンピュータ上でソフトウェア実装されたCNNによるシクマテルタ変調 (シグマテルタCNN)を用いて様々なテジタル静止画像に対してシミュレーションを行い、CMOSカメラ統合への応用に関する試み, Multi Stage Noise Shaping (MASH) を利用した多次ノイズシェープ特性を持つ方式の検討, ハードウェア実装に関する検討を行った. さらに, 量子化雑音低減のために非常に有効な手法であるオーバーサンプリング技術を本方式に適用する事について検討し, その基本技術である画像拡大手法として, CNNによる画像アップサンプリング手法を提案した. まずCMOSカメラ統合については, 将来CMOSカメラにシグマデルタCNNを統合しダイレクトA/D変換する事を想定し, A/D変換以外に基本的な画像処理機能を提供することについて検討を行った. ここで, CNNシグマデルタ変調においては, CNNのプレフィルタであるBテンプレートが任意フィルタに設定できることを明らかにし, これを利用することによってA/D変換以外にも基本的な画像処理機能を供する方式について提案した。次に, 多次ノイズシェープ特性を持つ方式については, 構造が簡単である一次ノイズシェーブ特性を持つCNNシグマテルタ変調器 (一次シグマデルタCNN) をカスケード接続する事によりMASHを実現し, 一次シグマデルタCNNと比較し優れた画像再構成性能を有する2次シグマデルタCNNを提案した. なお, MASH型シグマデルタCNNの安定性については, その結合特性上一次シグマデルタCNNの安定性のみで議論可能である. 最後に, ハードウェア実装においては, シグマデルタ型CNNのテンプレート係数が実数係数を要求するためにハードウェア実装時に大きな障害となる. このため, テンプレート係数の単純化について検討を行い, フィルタリング処理を加算演算とシフト演算のみで実現した方式についてシミュレーションを行い, 従来のシグマテルタCNNと比べて非常に高い画像再構成性能を有する方式を実現した.
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