研究概要 |
マルチメディアに対するデジタル指紋符号の研究のため, 平成20年度は結託攻撃モデルの拡張とその攻撃に耐性を持つ符号の構成を検討した, 特に, マルチメディアのデジタル指紋システムに対して有用な攻撃である『平均化攻撃』と汎用的データに対する研究で主に仮定される『シンボル置換攻撃』を統一的に表現する方法を考案した点に特徴がある. 上記の研究と並行して, 平均化攻撃に耐性を持つ符号を効率化できる手法を提案した. これにより, 本研究分野で先駆的な存在であるW. Trappeらの符号のクラスをより広いクラスに拡張し, 従来の符号クラスでは構成できない優れた符号が存在することを示した. 提案手法によって構成される符号は不正者の数がある閾値以下のときに不正者の検出を保障できる. 提案手法では, 強力な誤り訂正符号であるLDPC符号を確定的に構成する際に用いられる有限幾何のテクニックをベースにしている. このように, デジタル指紋符号の開発の際には, 符号理論が重要な役割を果たす. 本研究では, 誤り訂正符号の効率化及び高性能な復号アルゴリズムの開発も行った. さて, 不正者に攻撃されたコンテンツから不正者を推定する過程はマルチユーザ通信(特に, 多重接続通信路)における符号化システムと類推することができる. そこで, デジタル指紋符号への応用を見据え, マルチユーザ通信における符号化に関する研究を行った. 特に, 相関のある並列通信路における通信路量領域の導出および確定的な符号構成を提案し, デジタル指紋符号との関連性を考察した.
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