研究概要 |
ある情報源符号化アルゴリズムが, 与えられた確率的な情報源のクラス全体に対して, それぞれの情報源の理論的な圧縮限界を漸近的に達成できるとき, このアルゴリズムはその情報源クラスに対してユニバーサルであると言う. 本課題では, 現在までにユニバーサル情報源符号の解析に用いられてきたような, 対象とする情報源を定常無記憶情報源やマルコフ情報源, 定常エルゴード情報源などに決め打ちして性能評価を行なうのではなく, それぞれのアルゴリズムが適した情報源クラスを探すという解析を行うことで, 対象とするデータにより適した圧縮アルゴリズムの設計法を構築することを目標としている. 本年度の研究ではまず, VF(可変長データ・固定長符号語)符号について, 現在までの文献調査を行なった. これまでの我々の研究において, ある種の近似的な十分統計量とLZ78符号との関係が明らかになっているが, この研究においてはLZ78符号をFV(固定長データ・可変長符号語)符号として扱って解析を行っていた. しかし本年度の調査によって, LZ78符号と代表的なVF符号であるタンストール符号の間に理論的な関係が指摘されており, LZ78符号をある種のユニバーサル・タンストール符号と解釈できることが分かった. さらに, ここで指摘されている関係のバリエーションを考えることにより, LZ78符号とは別種のユニバーサル・タンストール符号が存在することが明らかになった.
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