研究概要 |
本研究では、前年度の研究成果をベースに認証情報の譲渡が困難な匿名認証方式の提案・開発・評価を行った.電子投票において非常に重要になる認証方式に着目し,匿名性を担保しつつ利用者(有権者)を認証する技術として応用可能である. 提案方式では,利用者(投票者)の公開鍵を認証情報に含めることで,利用者が実際に認証を行う(投票権を証明する)際に公開鍵と対となっている秘密鍵を持っていることを示す必要が発生する.もし認証情報(投票資格)取得後に認証情報を第三者に譲渡する場合,投票者の秘密鍵を同時に第三者に譲渡する必要が発生するため,認証情報の譲渡を防ぐことが可能となる.また,複数回の利用(信任投票のように,候補者から複数人選ぶ場合など)が行われた場合でも認証情報のランダム化を行う事で,同一人物の利用を特定することを防止している.そのため,一度認証情報を得た利用者は複数回に渡り,その認証情報の利用を継続することが可能になった. 本方式では,登録,認証などの各処理は利用者の数には依存しないため利用者数が多い場合の利用に適している.また,実際に試験実装を行い,認証情報提示先(候補者)の数による評価を行った結果,提示先が200程度の場合,登録(認証情報の取得)に10秒程度,認証情報の提示,検証に400ミリ秒という結果になった.複数回の提示に利用する場合でも登録は1度だけで良く,実際に利用者が待機する必要のある時間は1秒未満で済むことから十分実用に耐え得る事がわかった.
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