研究概要 |
極端紫外線リソグラフィーシステムのフォトマスクやミラーの基体材料として、線膨張係数 (CTE) が±5ppb/K以内となる超低膨張ガラスが要求されている。本研究では、TiO_2- SiO_2超低膨張ガラスのCTEの温度特性をLFB-UMCシステムにより評価するための検量線、すなわち、CTE、化学組成比 (TiO_2濃度)、不純物 (OH) 濃度と熱履歴 (仮想温度)、そして超音波マイクロスペクトロスコピー (UMS) 技術により計測される音響特性 (LSAW速度、バルク波音速、密度) との間の正確な関係を求め、所望の温度においてゼロCTEとなる超低膨張ガラスの作製条件を明らかにすることを目的とする。平成20年度の研究成果を要約する以下の通りである。 1. TiO_2-SiO_2ガラスの基礎となるSiO_2ガラス(TiO_2濃度が0wt%)に対して、不純物 (OH, Cl) 濃度、仮想温度、音響特性、およびCTEを測定し、それらの間の関係を求めた。 2. 直接法により作製した市販の合成石英ガラスと市販のTiO_2-SiO_2超低膨張ガラスに対して、音響特性とCTEの温度特性を測定することにより、音響特性と22℃におけるCTBならびにCTEがゼロとなる温度との問の関係を求めた。 3. 直接法およびスート法により作製したTiO_2- SiO_2超低膨張ガラスに対して、音響特性やCTB特性の仮想温度依存性を調べるために、いくつかの条件で試料の熱処理を行った。それらから測定用試料を作製し、音響特性、CTE特性、TiO_2濃度、OH濃度、仮想温度の測定を行った。その結果、仮想温度の変化に伴う、音響特性、CTE特性の変化を捉えることができた。
|