極端紫外線リソグラフィーシステムのフォトマスクやミラーの基体材料として、線膨張係数(CTE)が±5ppb/K以内となる超低膨張ガラスが要求されている。本研究では、TiO_2-SiO_2超低膨張ガラスのCTEの温度特性をLFB-UMCシステムにより評価するための検量線、すなわち、CTE、化学組成比(TiO_2濃度)、不純物(OH)濃度と熱履歴(仮想温度)、そして超音波マイクロスペクトロスコピー(UMS)技術により計測される音響特性(LSAW速度、バルク波音速、密度)との間の正確な関係を求め、所望の温度においてゼロCTEとなる超低膨張ガラスの作製条件を明らかにすることを目的とする。平成21年度の研究成果を要約する以下の通りである。 1.VAD法(OH濃度が0wtppm)と直接合成法(OH濃度が1000wtppm程度)により作製したSiO_2ガラス(TiO_2濃度が0wt%)試料に対して、いくつかの条件で試料の熱処理を行った。この試料に対して、OH濃度、仮想温度、音響特性、およびCTEを測定し、それらの間の関係を求めた。 2.スート法および直接合成法により作製したTiO_2-SiO_2超低膨張ガラスに対しても、同様にいくつかの条件で熱処理を行った。TiO_2濃度依存性を含めて、音響特性、OH濃度、仮想温度、CTEの間の関係を検討した。 3.1.と2.で得られた結果をもとに、所望の温度においてゼロCTE条件となる超低膨張ガラスの条件を求めた。
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