研究概要 |
本研究の目的は, 代表者がこれまで開発してきた磁気インピーダンス現象を利用した非破壊検査システムを応用し, 保温材付配管のような皮膜付構造物の外面腐食を非破壊検査できる手法を開発することである. システムを開発する上での課題は, (1)配管用の各種計測装置および計測方法の開発, (2)腐食位置や腐食面積などの情報を推定するシステムの開発である. そこで, 本年度は, (1)配管用の各種計測装置および計測方法の開発として, 二次元電磁石と電磁石を載せる台車の設計および製作と配管固定施設の設計と製作を行った. 本システム用の電磁石は以下の技術的課題があった. 1. 配管励磁用のため, 磁石を立てる必要があり自重の影響で磁極柱の曲げが生じ, また電磁石上部のみ荷重が負荷されるため磁気性能に影響がでる可能性がある. 2. 保温材配管へ励磁するため, 磁極間に空隙が存在するため磁気性能を高める必要があるが, 磁石を大きくすると自重が大きくなり課題1の問題がさらに大きくなる. そこで, 高エネルギー加速器で用いられる4極電磁石を参考にして電磁石形状を6角とすることで磁極柱の曲げと電磁石上部の強度を上げることにした. 設計の妥当性は, FEMシミュレーションによって確認し, 磁気性能と強度バランスのとれた最適形状および寸法を決定した. さらに, 電磁石を簡便に真直ぐ移動させるため, 台車の車輪を線路上を走るタイプとし, 3mという長さの実験装置ながら電磁石の精度の高い移動を可能になるようにした.
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