研究概要 |
本年度は,衛星搭載のマイクロ波偏波合成開口レーダ(SAR)データの陸域の特徴抽出について以下の三つの目標を設定し,研究を行った。各項目について実施した内容を以下に述べる。 1. 独立成分分析法の解析方法の検討 独立成分分析法を偏波合成開口レーダに適用し,解析を行った。解析結果は,主成分分析の結果と余り変化が無く,十分な効果を得ることが出来なかった。そこで,偏波解析法の三成分分解法(偏波データを,表面散乱,2回散乱,体積散乱成分に分解する方法)に偏波回転角を考慮して,陸域の情報を高精度に抽出できないかの検討を行った。これは,都市域でのビルの壁とレーダの照射方向とのなす角度,また山間部の傾斜により,目標の散乱特性が大きく変化するため,角度による影響を除去するためである。オリジナルの考えとしては,表面散乱と2回散乱で角度の影響が異なるように仮定を加えた。その結果,陸域の中で,特に都市域の散乱特性の詳細な評価が可能になった。 2. ファラデー回転を考慮した偏波校正法の検討 昨年度は,遺伝的なアルゴリズムを用いてファラデー回転を考慮した偏波校正法を検討した。しかし,遺伝的アルゴリズム(GA)は突然変異により精度の良い結果を得られるが,アルゴリズムが複雑で,長い計算時間を要した。そこで,Particle Swarm Optimization(PSO)法を利用した解析法の検討を行った。その結果,短い計算時間でGAと同等の計算結果が得られることが確認できた。 3. グランドトルースデータの取得 本年度は長崎で衛星搭載SAR(PALSAR)による偏波観測が11月に行われた。そこで,長崎大学グラウンドに3面コーナーリフレクター(2m)を設置し,参照データの取得を行った。
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