研究概要 |
本研究では,ピエゾアクチュエータを用いた超精密デジタルパルスステージによりナノ精度機械環境を実現し,さらに回折格子の光回折現象を利用したセンシングを組み合わせることにより,高い繰り返し精度を持つ位置決め装置の開発を目指し研究を行ってきた。 平成20年度は自動位置決め装置の開発,平成21年度は位置センサの開発を目的としてシステムの構築及び基礎データの収集,研究調査を行ってきた。本研究最終年度の本年度は,これまでの研究結果をもとに自動位置決め装置及び位置センサとしての総合評価,特に時間的及び空間的応答性の評価,精度評価を行った。 自動位置決め装置について,XY軸の2軸変位位置決め装置及びθ軸角度位置決め装置の開発を実現した。各位置決め装置の精度は,XY軸の2軸変位位置決め装置において標準偏差0.3nm以下,θ軸の角度位置決め装置において標準偏差6x10^<-9>rad以下の結果を得ることができた。この結果は提案した計算モデルによるシミュレーション結果とよく一致した。さらに位置決め装置を改良し,XY軸の2軸変位センサ及びθ軸角度センサの開発を実現した。現在の実験条件におけるセンシング範囲はそれぞれ約5μm,約0.3x10^<-5>radである。これらはセンサの位置や角度により変更することが可能である。ただし,それに伴い精度も変化することを確かめた。また制御プログラムの改良により,位置決めにおける整定時間の短縮に成功した。制御信号の実験条件を1Hzとした場合,20カウント(20秒)程度を実現している。この整定時間は制御信号の高速化によりさらに短縮が可能である。 以上の結果より,自動位置決め装置及び位置センサを製作し,多軸自動センシングと制御システムを実現した。
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