研究概要 |
本研究では拘束システムに対する新たな制御手法として, 状態リセット入力を用いた補償入力の生成法を提案し, サーボ系の制御へ応用することを最終的な目的としている. 本研究課題の達成に向けて, 平成20年度の研究では新たに状態フィードバック型リセット積分器を提案し, その解析を行った. 本研究課題で考える状態リセット入力の生成問題は, この種のリセット積分器を用いた制御に対応するRHC問題と見なせる, 提案のリセット積分器はClegg Integretorを特殊な場合として含むよう一般化されたリセット要素であり, 内部状態のリセットに制御対象の内部状態の情報を利用している点に新規性がある. また区分的2次リアプノフ関数を利用したL2ゲイン解析問題をLMIアプローチにより定式化し, 数値的解析の結果より以下のような優れた特徴が明らかとなった. (1) 既存のリセット要素を用いた場合と同様に, フィードバック系の基本線系システムが不安定な場合でも, 状態フィードバック型リセットコントローラにより閉ループ系を内部安定化可能な場合があること. (2) 提案のリセット積分器を用いることで, リセットパラメータの選択によりClegg Integratorと比べ優れたL2ゲイン性能を達成可能であること. 以上より, コントローラ内部状態のリセットを積極的に制御入力として利用することで,線形時不変な制御系では実現不可能な制御性能を実現可能であることが確認された. また状態フィードバック型リセット制御は, フィードバック系のL2性能の観点から優れた可能性を持つことが示された. 以上の理論的な研究の進展に加え, 実装実験のためのサーボ制御実験装置の作成を行い, 基本的な動作の確認を行った.
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