研究概要 |
本研究の目的は,移動ロボットのフォーメーション制御において,障害物の位置の推定誤差や各ロボットの軌道の予測誤差など,周辺環境の情報に一定の不確かさが存在する場合にもシステムの安定性を保証するロバスト制御手法を開発することである.また,実機を使ってリアルタイムで手法を実装するため,衝突回避を考慮したフォーメーション制御の計算量を低減する混合整数計画ソルバーの開発も行う. 本年度は,各ロボットの予測軌道が離散的であることから離散予測時刻間で衝突が起こる問題に焦点を当て,これを防ぐことを目的とした「可変最大速度法」と「遷移制約法」という2つのアルゴリズムの提案を行った.可変最大速度法は,障害物を仮想的に拡大するだけでなく,それと連動して障害物近傍の最大速度を下げることにより,予測時刻間の障害物回避を保証し,なおかつ軌道が必要以上に遠回りになる従来の問題を低減する手法である,また,遷移制約法は障害物回避制約の遷移に着目し,安全な遷移条件のみ生成することで予測時刻間の障害物回避を保証する手法である.これらの手法は,従来の方法と異なり,最適化問題を繰り返し解くことなく,障害物と衝突しない軌道が得られるという利点をもつ.また,これらの方法を用いた場合に予測時刻間での衝突回避を理論的に保証するための条件を明らかにした.さらに,計算機シミュレーションだけでなく,汎用の移動ロボットを用いた実機実験により提案手法の有効性を検証した.得られた結果はIFAC Symposium on Robot Control,および計測自動制御学会論文集で発表している.
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