研究概要 |
交付申請書の「研究の目的」,「研究実施計画」に記載したように,各ロボットの予測軌道の誤差に着目し,前年度までは静止障害物のみしか考慮していなかった単一移動ロボットの予測制御手法を,複数ロボットのフォーメーション制御に拡張し,予測軌道の不確かさに対してロバストな制御手法について研究を行った.より具体的には,各ロボットが予測する軌道は離散的な時刻のものであり,そのような離散的な予測時刻でしか衝突回避を考慮していないため,予測時刻間でも衝突回避を保証する新たなフォーメーション制御手法を提案した.また,提案手法において,最適制御問題の可解性と閉ループ系の安定性に関する理論的な考察を行い,提案手法の有効性をシミュレーションと実機実験により検証を行った. また,モデル予測制御に基づくフォーメーション制御において常に問題となる,最適化問題を解くための計算量に着目した研究を行った.最適化問題を解くための分子限定法において,衝突回避問題の特性を考慮することにより,不必要な子問題を低減する新たなアルゴリズムを提案し,モデル予測制御を用いた手法では過去に検証例が見られない5台のロボットで実機実験を行い,有効性を検証した. さらに,従来の多くのフォーメーション制御手法では,リーダからの相対位置の指令値を各ロボットについて与える必要があり,ロボットの台数が増加すると困難になる問題に着目して研究を行った.ロボット群全体の重心の位置,向き,形状を特徴付ける抽象変数を導入し,オペレータによって与えられた軌道に対して,指定された幅を持つ経路を追従するようにロボット群の形状を自動的に変形させる制御手法を提案し,実験検証を行った.また,その制御手法の基礎となる,複数車両を直列に連結したヘビ型ロボットの先頭追従制御手法も提案した.
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