研究概要 |
(1)実験用ダクトを用いた単方向音源の性能保証:昨年度の結果(スピーカの背面音を上流で干渉させる手法(提案手法)の有効性を主に実験的に検証)を国際会議ICSV16で発表した。その結果、周波数応答実験結果が物理モデルによる計算結果がずれており、この解明が課題として残った。そこで、スピーカ背面音を模擬する別のスピーカを追加し、物理モデルに近い実験装置を構成した結果、上記のずれは小さくなった。このことから、スピーカ背面音が前面に比べて弱いか、背面音を上流で合流させるためのサブダクト(フレキシプルダクトで柔らかい)による減衰が考えられる。現在、スピーカの向きを逆にして原因追及を行っている。(2)実装用ハードウェアの性能比較:実験用ダクトを用いて、比較的低次(20次)の補償器を設計し、PICマイコン(16F877)に実装した。安価な構成(8bitD/A, 10bitA/D,整数シフト演算)で実装誤差が大きい状況でもPCを用いた従来の環境と同等の性能が得られることを確認した。換気システムを用いる場合には、経験的により高次の補償器が必要で、PICを用いることは困難なため、dsPICおよびH8マイコンを用いた実装環境の準備を行った。(3)換気システム用消音ダクトとの性能比較:上記1の課題に対処したために装置を実際の住宅に設置して性能評価を行うことはできていないが、住宅用に市販されている消音ダクトと能動騒音制御(双方向音源)の騒音抑制効果を比較した。同一のスペースに設置することとし、能動騒音制御装置の全長を消音ダクトの全長(2m)に合わせた。その結果、50Hz以下の低周波数域で、能動騒音制御の方がよい性能が得られた。ここで使用したロバスト安定の重みは暫定的なもので、性能改善の余地があり、現在検討している。また、住宅に装置を持ち込むためノートPCにアナログ入出力ボードを接続、RTAIおよびMATLABを搭載し、実験環境を構築した。
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