研究概要 |
本年度は初年度ということで, 基礎研究を実施した. 具体的には以下の通りである. (1)ブーリアンネットワークモデルの可制御性解析 : ブーリアンネットワークモデルは遺伝子ネットワークのモデルの一つであり, 離散ダイナミクスの一種である. ブーリアンネットワークモデルの可制御性判定条件は一般にNP困難であることから, 多項式時間アルゴリズムにより判定可能な十分条件を提案した. (2)有向グラフで表現される離散ダイナミクスのモデリング : 与えられた有向グラフを複数の有向グラフに分割し, 切り替えにより離散ダイナミクスを表現する方法を提案した. (3)オンラインおよびオフライン計算を用いたハイブリッドシステムのモデル予測制御の近似解法 : モデル予測制御ではオンライン計算またはオフライン計算のみに基づく解法が多いが, 計算時間の観点からは両方を用いることが望ましい. また実用上, 近似解法は重要である. 提案手法では, オフライン計算で問題が可解となるモード系列を抽出し, オンライン計算では簡単な計算でモード系列を決定し, 二次計画問題を解くものである. したがって, 計算負荷を分散することが可能となる. (4)不確かなパラメータを含むハイブリッドシステムの解析・制御への区間法の適用 : 区間法は精度保証付き数値計算手法として広く用いられているが, 制御系設計への応用は少ないことから適用を検討した. 区間法を用いることで, 不確かなパラメータを含むハイブリッドシステムは混合論理動的システムとして表現可能であり, 既存のさまざまな手法が適用可能となる. 以上の成果は, 雑誌論文や国際会議に投稿中である.
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