| 研究概要 |
本研究では, 従来, 材料工学的手法が主軸であった匂いセンサ開発において, センサの出力の解析という信号処理的側面からのアプローチを行い, 従来, 実現が困難な高い選択性を持ち, かつ所望の選択特性を持つようにその特性を制御可能なセンサの機能設計における新たなアプローチの実現を目指す. Prony法によるセンサ出力の過渡応答波形のモデル近似を基本に, パラメータ推定に部分空間同定法を導入し, 出力信号の解析を行うことでセンサの出力から入力である被験ガスの情報を最大限に引き出すものであり, 部分空間同定法を応用したセンサ特性の制御を可能とするアルゴリズムの開発を目指すものである. 匂いセンサ出力のモデル近似とそのパラメータ推定において, 選択性制御に必要なセンサ応答の時定数推定アルゴリズムを検討した. 具体的には, Prony法と部分空間同定法の関連を検討し, Prony法における指数関数和によるセンサ応答の近似モデルを状態空間表現し, 次数推定手順が部分空間同定法におけるシステム行列の推定と同じ枠組みで解釈できることを示した. また, 基本的にオフラインでの処理を前提とした同手法の逐次化についても検討を行った.
|
