研究概要 |
本研究の目的は, 過大なアルカリ骨材膨張による劣化被害を受けた構造物の維持管理対策の確立に必要な過大膨張を受けたコンクリートの力学的性能を明らかにすることにあり, 種々の膨張レベルにおけるコンクリートの力学的性能, さらには高強度コンクリートにおける膨張が与える影響に明らかにすることにある。これらの目標を達成するために, 20年度においては, 各種の反応性骨材の収集、コンクリート配合の決定, 劣化の促進を実施した。 その結果, 全国各地におけるアルカリ骨材反応による劣化を生じた構造物の実情を把握し, 我が国の代表的な反応性骨材として5種類の骨材(安山岩3種類, チャート1種類, 川砂利1種類)を収集した。さらに, これらの骨材の反応性に応じたコンクリート配合を決定し, 力学的挙動(圧縮強度, 弾性係数, ボアソン比, 応力-ひずみ曲線, 吸収エネルギーなど)を詳細に検討するための供試体を作製した。供試体作製後, アルカリ骨材反応による膨張とその力学学的挙動, さらには, 骨材種類の与える影響を同時に検討するため、アルカリ, 骨材反応による膨張を促進する環境(高温多湿)に暴露し, 劣化の促進を開始した。本年度の成果は, 本研究の目的を実施するための初年度の計画を完遂した。作製した供試体を用いて, 21年度においてはその力学的性能の把握に取組む予定である。
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