研究概要 |
本年度は, 負圧を作用させた溶液中に二酸化炭素ガスが溶け込む過程を実験的に再現することを試みた. φ6および25μmの細孔を有するキャピラリプレートを容器上面に配し, 容器内のNaOH溶液と接触させることで負圧を発生させた. キャピラリプレートの細孔を通じてのみ二酸化炭素ガスを溶液中に溶解させることを意図して, キャピラリ面以外は密封した. また負圧を生じさせた状態のまま測定を行うために, 容器上面にはpH測定用孔を設けた. なお, キャピラリプレートのサイズは有効径(細孔を有する部分の径)が40mm, 厚さか2mmのものを使用した. 上記の容器にNaOH溶液を満たしたものを炭酸化促進槽内に曝露することで, 二酸化炭素ガス溶解実験を行った. 炭酸化促進槽内の湿度はほぼ100%, 温度は25℃一定とした. 環境のCO2濃度は0.5および5.0%とし, 溶液の初期pHは11.0および10.0とした(キャピラリプレートが強アルカリ環境では溶解する恐れがあるため, 一般的な細孔溶液のpHよりも低い値を用いた). 炭酸化実験中は, pH電極により経時的に溶液のpHを測定した. キャピラリプレートがガラス質の材料であるため強い力を加えることができず, 容器の密封性を高め, かつ確実に溶液との接触を図るため, 容器は形状や冶具の材質などについて試作と改良を行った. その結果, φ6と25μmの間でpHの低下性状には実験的に差が見られたが, この差異が負圧の作用による気液界面でのCO2ガスの溶解速度変化によるものであるか否かについては, 今後詳細な数値解析的検討を行っていく予定である.
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