研究概要 |
本研究は,鋼とコンクリートの境界部に生じる鋼材腐食に着目し,共鳴振動試験による鋼材腐食量推定法(非破壊検査法)の開発を目的としている. 今年度の検討では,このような簡易点検手法を構築するための基礎的データの収集を目的として,鋼とコンクリート接合部を模した供試体を作製し,鋼材腐食が振動特性に及ぼす影響を検討した.得られた知見を以下に列挙する. (1)小型起振機を用いた共鳴振動試験方法を提示した.この試験方法によって接合部供試体の振動特性(固有振動数や減衰定数など)を精緻に評価できた. (2)本実験の範囲において,鋼板を用いた接合部供試体では鋼材腐食による明確な振動特性の変化は確認できなかった. (3)H形鋼を用いた接合部供試体でも鋼材腐食に伴う固有振動数の変化は小さい.しかし,鋼材腐食率が2~3%程度を超えると減衰定数が10~40%程度増加する傾向が見られた. (4)形鋼の曲げ試験により,上記(3)で検討した2~3%程度の鋼材腐食率では部材の曲げ剛性や耐荷力にほとんど影響しないことを確認した.
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