研究概要 |
異種材料間の界面における支圧・付着・摩擦挙動を考慮した複合構造の有限要素接触解析を行うために,もっとも一般的な分子間ポテンシャルであるLennard-Jonesポテンシャルを用いた界面の付着・摩擦モデルを提案した.従来の完全弾塑性モデルと本研究で提案したモデルを用いて,鋼とコンクリートの押し抜き試験の解析を行った.これらの結果を実験結果と比較することにより,本研究で提案する付着・摩擦モデルは従来の完全弾塑性モデルに比べて以下のような利点を有することが確認できた.1.本研究で提案したモデルは,従来の完全弾塑性モデルに比べ,実験を定性的によく再現することができた.2.従来の完全弾塑性モデルでは,要素分割や荷重ステップなどの付加的な解析条件により解析結果が変化していたのに対して,本研究で提案したモデルでは付加的な解析条件が結果に及ぼす影響は非常に小さかった. 鋼コンクリート間の微視的な付着強度を正確に測定するために,従来行われてきたせん断試験において避けることのできなかった界面端部で生じる応力集中を回避するためのねじりせん断試験を提案した。さらに,提案したねじりせん断試験により,鋼・コンクリート界面の付着強度を評価した.本試験により,界面端部の応力集中が回避され,既往の研究より大きい,界面が本来有していると思われる付着強度が得られた.また,コンクリートの圧縮強度を変化させることによって,圧縮強度と付着強度の関係を明らかにした.
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