研究概要 |
鋼コンクリート複合構造の設計において結合部の結合部における応力伝達機構は,合成桁のような比較的単純な構造を除いて,明らかになっていない.そのため,現在では非線形有限要素解析による結合部の性能照査に対する期待が高まっている.この非線形有限要素解析には,鋼コンクリート界面の精緻な数値モデルの構築が必要とされる.界面の力学特性の解明と数値モデル構築のために,従来は押し抜きせん断試験による研究が行われてきたが,界面境界部でのせん断応力の集中により,界面の力学特性が正確に評価できないことが問題となっていた.そこで,本研究では,従来行われてきた押し抜きせん断試験において避けることのできなかった界面端部で生じる応力集中を回避するため,コンクリートブロックとその中心に埋め込まれた鋼円柱からなる,ねじりせん断試験を提案した.モルタルコンクリート強度および支圧応力をパラメータとして,計31体の試験体に対して提案したねじりせん断試験を行い,鋼コンクリート界面の付着強度を評価した.この結果,付着強度はコンクリート強度の1/20程度であることがわかった.これは既往の押し抜きせん断試験の結果の4~7倍程度の大きさであった.このことから,本試験では界面端部の応力集中が回避され,既往の研究より大きい,界面が本来有していると思われる付着強度を得ることができたと結論付けられる.これらは,非線形有限要素解析に基づく鋼・コンクリート複合構造の結合部の性能照査手法に欠かせないものである.
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