研究概要 |
本研究は,社会基盤構造物に対する定量的かつ効率的な維持管理手法の創出を目指し,空間的に高密度計測を可能とするモニタリングノードの開発を目的とした.以下に,本年度の実績について説明する. レーザーを利用したモニタリングノードにより,市が管理する斜張橋のケーブル張力計測を実施した.張力計測は,ケーブル全48本に対して,固有振動数を用いる振動法により実施した.計測に要した時間は約3時間であり,従来の張力計測と比較して,作業が大幅に迅速化されることを確認した.同定されたケーブルの固有振動数に経年変化は確認されなかったものの,今後とも,経時的なモニタリングを実施して,ケーブル張力を管理する予定である. MEMS要素技術を利用して従来の計測システムよりも安価なセンサノードを開発することを目的とした研究では,デジタル・アナログ回路の分離ならびに16ビットADCの使用,200Hzのオーバーサンプリングとソフトウェアでの平均化を実施するなど,プロトタイプの計測精度の改善を進めた.本プロトタイプを既設橋梁の振動計測に対して適用したところ,車両走行時の振動では検証用の高精度センサと同程度の計測結果が得られ,また,±1gal以下の常時微動成分を計測可能であることを確認した.
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