研究概要 |
近年我が国では,主に高度成長期建設された社会基盤構造物が老朽化し,それらの維持管理が重要となっている.例えば橋梁であれば,交通供用下での架け替えは実際上難しいため,補強・補修などの研究開発が精力的に行われているのが現状である.また,従来の主要材料であった鉄に替わって,FRPなどの革新的な材料を用いることも盛んに検討されている.そこで本課題では,構造物を構成する材料の中でも使用量が格段に多いコンクリートにターゲットをおいて,高耐久性でかつ低環境負荷型構造材の創生とその適用性について研究した. 言い換えると,人工軽量骨材を用いると軽量化が図られる反面,引張およびせん断強度が低下する.その低下を改善するために,ビニロン繊維補強をする.さらに,コンクリートの主成分であるセメントにエコセメントを用いることにより低環境負荷型コンクリートとなり得る.ビニロンは耐腐食性材料であるため,エコセメント中の塩化物による腐食の心配はない.さらに,鉄筋に替わる次世代の補強材であるCFRP材を用いることにより,部材全体として高耐久性の構造材となる. (1) U型アンカー継手の性能試験(4月~8月) CFRPロッドを用いたコンクリート部材同士を接合する際の継手の性能を検証した. (2) 実物大相当のPCはりの破壊試験(7月~11月) 3-5m程度のPCはりの破壊試験を行い,破壊メカニズムについて検証した. (3) 数値解析および設計法の確立,報告書作成(11月~3月) (2)の結果を基に数値解析を行い,CFRP材を用いた軽量コンクリート部材の力学特性の検討について詳細な考察を行った.その後,設計法を取りまとめて,報告書を作成した.
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