研究概要 |
建設コストの大幅な削減が求められている昨今,製作コストが安価で施工性の良い2主I桁橋に二重合成構造を適用した構造を考案した.しかしながら,下フランジに溶殖したスタッド(以下,鉛直スタッドと表記)とウェブに溶殖したスタッド(以下,水平スタッドと表記)を単独または併用して配置した場合の鋼桁と下コンクリートのスタッドの設計手法は,十分に確立されていないのが現状である.そこで,鉛直および水平スタッドを単独もしくは併用して配置した際の静的,疲労挙動を把握するために,平成20年度に各種押抜き試験を実施した. 今年度は,まず,併用スタッドの繰返し押抜き試験の各繰返し回数と相対ずれ量の関係から,鉛直および水平スタッドが分担する荷重の割合について検討を行った.その結果,応力振幅△τ=190N/mm^2の場合,初期載荷において,鉛直スタッドの荷重分担率は,水平スタッドの1.84倍になることがわかった.一方,この荷重分担率は,応力振幅の値が小さくなるほど大きくなり,例えば,応力振幅△τ=115N/mm^2の場合,2.38倍となった.一方,鉛直スタッドの荷重分担率は,繰返し回数の増加に伴い減少することもわかった.なお,実験供試体は,すべて,鉛直スタッドの破断が先行し両者の破壊に至った.以上より,鉛直および水平スタッドの本数が同数の場合,スタッドの疲労照査は,鉛直スタッドに対して行えばよいという知見が得られた. つぎに,限界状態設計法に基づいて二重合成複合ラーメンI桁橋を対象に試設計を行い,全橋長に渡って桁断面がコンパクト断面となるため,許容応力度設計法で試設計を行った場合よりも桁高を低くすることができるので,コスト削減が可能との結果が得られた(概算鋼重が約15%低減).
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