溶接ルート部の局部応力を用いた疲労強度評価を目的とし、本年度以下の検討を行った。 1. 溶接ルート部から疲労亀裂が発生する代表的な溶接継手を対象に、疲労強度に影響を与える継手形状因子について整理するとともに、それら継手形状の現場での測定の可能性についてヒアリングを行った。また、現在、溶接ルート部の局部応力を用いた疲労強度の評価法であるエフェクティブノッチストレス法(ENS法)と亀裂進展解析により、複雑な作用応力状態での疲労強度を評価し、それらの差異について考察を行った。本研究は、次項で示す、溶接部前面での測定できる応力を用いた疲労強度評価を最終的な目的としているが、測定できる応力と疲労強度を結びつけるために、これら提案されている手法を媒介にすることを考えており、それらの手法の特徴について検討する必要があった。この研究の成果は、平成21年土木学会年次学術講演会に投稿中であり、講演予定である。 2. 前項と同様に荷重伝達型十字継手を対象にENS法および亀裂進展解析結果と溶接部前面の応力分布とを比較することにより、疲労強度を評価できる溶接部前面の測定できる応力の位置について、継手形状をパラメータに検討を行っている。現状では、止端部応力とENS法との関係について整理できることを明らかにでき、一般的に止端部応力を代表する種々提案されているホットスポット応力などとの関係を現在整理している段階であり、次年度にはこの点について早々に整理を行う予定である。また、この点についても実験的な検討を開始している段階である。
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