研究概要 |
本研究は,最新の計算力学・地盤工学・鋼構造工学における研究成果を集約して統合型解析ツールを提供し,新たな知見を実務技術に還元するものであり,(1)地盤・基礎・上部構造の解析モジュール統合による,実務活用を前提とした高機能な構造物全体系連成解析システムの構築,(2)実験・実測結果との比較検証による解析コードの精度向上と実務解析への適用性向上,(3)現行設計コードとの対比に基づく新たな知見の集約と実務技術へのフィードバックの3項目から構成される. 本年度は本研究の2年度目であり,初年度の研究成果を踏まえ,以下に示す研究項目(i)~(iii)について取り組んだ. 研究項目(i):設計支援ツールとしての実務活用を前提とした高機能な構造物全体系連成解析システムの構築.初年度の成果により,構造物の各構成要素(地盤・上部構造)の個別解析モジュールは高度なレベルで完成された.本年度はこれらの統合作業を行い,連成系解析ツールとして完成させた. 研究項目(ii):幾何学的・材料的非線形問題に対する数値解析のロバスト性と計算効率の向上.鋼構造部分は座屈など幾何学的非線形性が卓越する.一方,地盤部分は変形局所化など材料的非線形性が支配的である.こうした力学特性が極めて異なる構成要素を統合的に取り扱う際には,非線型方程式の精度良い求解が困難となる.そこで,安定的に求解しうるようロバスト性の向上を図った. 研究項目(iii):実務問題の解析への対応.実務問題の境界条件は非常に複雑である.実務解析の要請に柔軟に対応できるよう,モデル生成などプリ・ポスト処理環境も含めた高機能解析ツールを整備した.
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