研究概要 |
近年,発電効率と機械的運動特性に優れた柔軟素材を用いて,人工筋肉によるEPAM発電,圧電素材を利用した発電など,新しいタイプの発電技術が注目を集めている.これらの発電技術は,現在主流のタービン型に比べて,発電コスト,建設コスト,設置条件,維持管理コスト,異常外力に対する破損等の面で,大幅な改善が期待される. 以上の背景を踏まえ,著者らは,大気(特に,市街区の風力),海洋(波力,潮汐力,潮流力),河川等の流れエネルギーを高効率で回収することが可能な振動型発電技術の開発を進めてきた.具体的には,超薄膜・柔軟素材である圧電フォルムを基盤とした「弾性圧電デバイス」を開発した.大気・海洋・河川における一様流れ,渦,波エネルギーの作用によって,この弾性圧電デバイスは,曲げ,せん断,ゆらぎ,蛇行,はためき,らせん運動等の弾性運動をし,電気エネルギーを発生させることが可能である.著者らの研究において,この弾性圧電デバイスの材料特性,運動特性および発電特性を検証し,その有用性を明らかにした.また,実用化を見据えた設計ツールとして,発電シミュレーションコードおよび画像解析手法を開発し,その有用性を確認した.さらに,蓄電化にも成功し,特許出願を行うに至った.今後,実用化に向けた設計指針と発電デバイスの最適形状について,明らかにしていく予定である.さらに,洋上風力発電システムとのハイブリッド化に向けた実用設計を行う予定である.
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