研究概要 |
(1) 屋外模型都市および植生における乱流の同期計測システムの構築 隣接する模型都市および植生上において乱流観測を実施し、それぞれのキャノピー上での乱流統計量および3次元乱流構造を把握した。愛媛大学付属施設である水田の一角である15m四方の敷地に一辺30cmのアクリル製立方体400個を等間隔に配置することで擬似的な都市キャノピーを作成し, 都市模型および植生上に超音波風速計を配置して乱流データを取得した。 (2) 都市および植生キャノピー上に発達する乱流構造解析と相似・非相似点の抽出 上記の実験システムから得られた乱流データを用いて、乱流統計量解析、空間相関解析、条件付きサンプリングなどの手法により、シアー不安定による大規模渦構造の存在、それに付随するイジェクション・スィープ強度、キャノピー高さで無次元化した渦スケール、乱れエネルギーのピーク周波数などに着目して、キャノピー上に発達する乱流構造の特徴を検討した。その結果、以下の知見が得られた。1) 水田では都市モデルに比べて運動量輸送が大きく, キャノピー高さで無次元化した粗度を比べても水田の方が大きい. その理由として, 水田のフロンタルエリアインデックスが大きいことが挙げられる. 2) 運動量輸送に対して四象限解析を行ったところ, 都市モデルに比べて水田では乱れが効率的に運動量を輸送している. 3) 水田において運動量コスペクトルのピークは尖った形状をしており, ある周波数帯で効率的に運動量が輸送されている.
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