本研究は自転車交通、自転車・歩行者の混合交通の安全性評価に対して、自動車交通の分野で提案されている評価指標の考え方を適用することにより、交通現象の分析にもとづく定量的な交通錯綜現象の評価指標を提案するものである。具体的には、自転車交通、自転車・歩行者の混合交通における交通錯綜現象の発生状況と、自転車・歩行者の交通量、交通密度、速度などの交通要因、道路(歩道・自転車道)幅員や自転車・歩行者の分離状況などの道路要因との関連を定量的に明らかにする。これにより、交通要因、道路要因を考慮した、自転車・歩行者交通の安全性を評価するための定量的な交通錯綜現象の評価指標を作成することが、本研究の目的である。 平成20年度には、交通要因、道路要因の異なる複数の道路区間において自転車交通の観測調査をおこない、今後の分析において重点を置くべき交通要因、道路要因を抽出した。具体的には以下の点について研究をおこなった。 1. 交通要因、道路要因の異なる複数の道路区間において自転車交通の観測調査を行い、交通量、交通密度、速度などの交通状況と、交通錯綜現象の発生状況について計測した。これらの調査においては自転車、歩行者の走行挙動をミクロに計測する必要があるため、デジタルビデオカメラを用いて複数箇所から自転車・歩行者交通を撮影し、パーソナルコンピュータ上で計測、解析をおこなった。 2. 上記の調査結果にもとづき、自転車・歩行者の交通量、交通密度、速度などの交通要因、道路(歩道・自転車道)幅員や自転車・歩行者の分離状況などの道路要因と、交通錯綜現象の発生状況との関連を分析した。これにより、交通錯綜現象の発生件数、発生確率の定量化において重点を置くべき交通要因、道路要因を抽出した。 3. 得られた研究成果について国内外の関連学会で発表し、討議をおこなうとともに、平成21年度以降の研究の方向性に関する検討をおこなった。
|