研究概要 |
本研究は,閉鎖性水域を水源とする浄水場で季節的に発生する凝集阻害に対して効果的な対応策となり得る新しい凝集促進剤の開発を目標にしている.本年度は,凝集促進剤の素材として期待するキトサンについて,凝集阻害物質存在下における凝集補助効果について検証することを目的とした. 実験では,凝集阻害の原因藻類であるMicrocystis aeruginosa由来有機物が含まれる原水に対して,ポリ塩化アルミニウム(PAC)とキトサンによる併用処理を行い,濁度除去効率および凝集処理効率について検討した. 本年度の実験において得られた成果は以下のとおりである. (1)Microcystis aeruginosaの細胞および由来有機物が含まれる原水に対して,PACおよびキトサンとの併用処理を行った.PAC20mg/Lの添加量に対してキトサン0.5mg/Lを添加したところ,大幅な凝集効率の向上が観察され,低濃度のキトサンが凝集補助効果を発揮することが示された. (2)(1)と同様の原水に対する凝集処理において,PACとキトサンとの併用処理はPACのみによる凝集処理を行った場合に比べて約50%の濁度除去率の増加が観察された. (3)キトサンの凝集補助効果によってPACの添加量を低減できることから,発生汚泥量の減量を図ることが可能でことが示唆された.
|